すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「あのさ。こんな形になってから言うのも気が引けるんじゃけど――。俺、(なる)……、言凛(ことり)ちゃんのこと()()()()気になっちょるんよ」

 言われて、私はキョトンとする。
 「ぶちくそ」って何だろう?

 私の視線を受けて、そのさんが「あ」と言う顔をして「俺、言凛(ことり)ちゃんのこと、()()()()()()()()()()()んよ」と言い直した。

 あぁ、「ぶちくそ」は「凄く」って意味だったのね。

 そう思うと同時――。

 2回も下の名でわざわざ呼んでくれたのは、きっと昨日私が柳川(やながわ)に「寛道(ひろみち)」って呼びかけたのと同じ理由かな?と思い至る。

 だとしたら、確かにめちゃくちゃ気に掛けて頂いているみたい。


 私を打ちのめしたのは、そもそもそのさんじゃなくて柳川の言葉だ。
 なのに、わざわざこうして追いかけてきてくれて、しなくてもいい弁解をしてくれている。


 そのさんはお兄さんが2人と妹さんが1人いるっておっしゃってたから、きっと人一倍調和を重んじる人なんじゃないかなって思って。

 飲み会の時にも感じたけれど、彼は本当によく周りを見ている人だから。


「き……()()()()()()()()()()有難うございます」

 言ったら、そのさんが大きく瞳を見開いた。


「いや、ここでその返し……。言凛(ことり)ちゃん、ど天然すぎるじゃろ」

 言われてプハッと吹き出されて、あごにかけられていた手と、握りしめられたままだった手首がほどかれる。

「俺さ、いま結構真剣に言凛(ことり)ちゃんのこと口説いたつもりだったんじゃけど、伝らんかった?」

 言われて、今度は私が瞳を見開く番だった。
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