すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
***


(かえで)ぇ〜。誰か車出してくれる人いないかなぁ〜」

 講義後。
 次もこの教室で引き続き別の授業があるから、そのまま居座って。

 もぉ、限界だよぉーっと机に突っ伏すようにして、窓の外の景色を濡らす雨を横目に眺めながらウダウダ言っていたら、楓にサラリと「ほら、例のゼミの先輩彼氏は?」って言われてドキッとする。

 いちいち説明しなくても、さすがに1ヶ月以上も経てば、楓にも(きわむ)さんとのことはバレていて。

 私、柳川(やながわ)に偽装がバレては意味がないので、親友の楓にも先輩とのことが仮初めの関係なのだと説明できていないの。


 (きわむ)さんはマイ原付は持っているけれど、車には乗っていらっしゃらなかったはず。
 何よりマイカーを持っていらしたからと言って、家のことを頼むとかそんな間柄ではない。

 そもそも私と彼が恋人ごっこを興じるのは柳川の前でだけ。

 結果、基本的には学内――それも研究室――がメイン舞台だから、当然我が家に来てもらったことも、(きわむ)さんの(アパート)に伺ったこともない。
 とっても清らかな関係なの。


 楓はそれを知らないから「彼に頼めばいいじゃん。大好きな彼女の頼みとあれば、何とかしてくれるでしょ?」とかニヤニヤするの。
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