すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「柳川(やながわ)はコーヒーと紅茶とお茶とジュースだったら、どれがいい?」

 半ば無意識にそう問いかけたら、瞳を見開かれた。

「鳴宮(なるみや)、お前……」

 さっき楓(かえで)に、そのさん(かれし)を家に入れたことがないって言われたばかりだったのを思い出して、「あっ、あのっ、今のはっ」って慌てて口をつぐんだら、柳川が小さく吐息を落としてから「熱いブラックコーヒー」って答えてくれて。

 今度は私が息をつめる番だった。

「いい、の?」

 聞いたら「いや、それ、俺のセリフだろ」って言われて、それもそうかって思ったら可笑しくなった。

「……柳川だから、いい」

 淡く微笑んでそう言ったら「何だよ、それ」ってムスッとされる。
 けれど、本当にそうなんだよ?って真顔で言えたなら……貴方はどういう反応をするのかな?


「お前さぁ、前にも言ったけど……俺も男だってこと忘れてね?」

 柳川が溜め息まじりにそう言ってきたけれど、ごめん。私、誰よりも貴方のこと、異性として意識してる。


 失恋後1ヶ月ちょっとの柳川に、それを言うのはまだ早いよね。

 キスされたのだって、柳川は忘れて欲しいって言ったけど、私、忘れられないでいるのよ?



「ね、柳川。洗濯とか乾燥とかしなきゃいけないって考えたら……2時間くらい結構あっという間かもしんない! 急ごう?」


 柳川の質問には答えないで、私はそう言って階段を駆け降りた。
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