すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
「――そのさんの家、電車の沿線なんだ」

 その背中を見送りながら、何の気無しにポツンと言ったら、「付き合ってたくせにお互いの家、行き来したことねぇっての、本当だったんだな」って柳川(やながわ)がつぶやいて。

 私はその声にドキッとする。


「そう言えば私たちってば、付き合ってもいないのにお互いの家、行き来しちゃったね。ホント、けしからぁ〜ん! ……なんてね」

 沈黙が怖くてわざと冗談めかして言ってへらりと笑ったら、予想に反して柳川が黙り込んでしまって。

「もぉ、何か言ってよ〜。ひとりごと言ってるみたいで恥ずかしいじゃん」

 どうしよう。
 心臓がバクバク言ってる。
 お願い、柳川。
 いつもみたいに「バ〜カ」って頭をポンッて(はた)いて?

 言葉とは裏腹。

 恥ずかしさと緊張でお酒のせいばかりではない顔の火照りを感じながら、それを誤魔化すみたいに慌てて視線を地べたに向けて。

「ねぇ見て? 歩道、水溜りだらけ! 気を付けないとハマっちゃいそうだね」

 って言ってみる。
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