すてられた想い人をなぐさめたら、逆に私がひろわれました!?
 水溜りをピョンと飛び越えてクルッと向きを変えたと同時。

「――お前さ、さっき……。俺からの質問、しれっとスルーしたよな?」

 柳川(やながわ)からそう声を掛けられたうえに距離を削られて、私は危うく飛び越したばかりの水溜りにハマりそうになる。

「バカっ」

 すぐにグイッと柳川に手を引かれて彼の腕の中に包み込まれて。

 バランスを崩した瞬間に感じたヒヤリ!よりも、もっともっと大きく心臓が高鳴った。

「ご、ごめんなさいっ」

 謝ってはみたものの、元はと言えば柳川が急に近付いてきたのが悪いんじゃ?

 そう思って柳川を見上げたら、

「なぁ鳴宮(なるみや)。誤魔化さないで俺の質問にちゃんと答えろよ」

 ってぶっきら棒な声を落とされる。

「質……問?」

 何を問いかけられたっけ?と思いながら見つめた柳川の顔は存外近くて、おまけに物凄く真剣な表情だったから。

 柳川の腕の中、トクンッと一際(ひときわ)大きく胸が飛び跳ねた。

 身体が触れ合っているから、私の鼓動がうるさいくらいにはしゃいでいるの、気付かれてしまうかな?

 そう思ったのだけれど――。

 身長差のせいで額の辺りに触れる柳川の心臓も、結構(せわ)しない気がして「え?」と思う。

 声はいつも通り落ち着いて聞こえるけれど、実際は柳川も緊張してくれてたり……する?
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