義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
 とは言ってみたものの、ふと気になり、和樹の机の上をのぞき込む。
「分からないところがあったら、教えてあげるよ」
 和樹がノートを開いてこちらに見せる。

■14

「い、いらねぇよっ!姉ちゃんは文系だったろ?」
 わけのわからない数式がびっしり並んでいます。
 高1の勉強、なめてました。ごめんなさい。
「もういいから、さっさと髪の毛乾かして来いよっ!姉ちゃんがいたんじゃ、宿題が終わらないっ!」
 和樹が顔は真っ赤だ。
 あー、しまった。顔を真っ赤にするほど怒らせちゃったかっ!
 髪の毛をしっかり乾かし、Tシャツを着てから冷蔵庫から牛乳をコップに注ぐ。
 あ、和樹にコーヒー入れてあげるか。怒らせちゃったし。
 苦いのは苦手だから、和樹のコーヒーは、砂糖とミルクをたくさん。いわゆるカフェオレなんだけど、和樹は「コーヒー」と呼ぶ。
 ふふふ。コーヒーが飲めるっていうと大人みたいだもんね。
 かわいいなぁ、和樹。

 カップを手に、再び和樹の部屋をノックする。
「コーヒー持ってきたよ~」
 ドアを開けると、和樹はカバンに教科書を詰めているところだった。
「もう宿題終わったの?」
 カップを机の上に置いてから、ベッドの上に座り、壁にもたれる。
「ありがとう、で、何?」
「今日ね、武田先輩と会たんだ」
「誰、それ?」
 明日の授業の準備を終えた和樹が回転する椅子に腰かけてコーヒーを飲んだ。
 カフェオレだけど。
「異世界同好会の先輩。でさ、昔、和樹が電気で魔法が使えないか実験したって話をしたんだよ」
 って言ったら、和樹の顔がゆがんだ。
「話すなよ!ったく、痛い人間だって思われるだろっ!」
 あ、和樹自身も痛い行動だったって思ってる?
「大丈夫だよ。痛いどころか、才能ある。ぜひ異世界同好会へ!って言ってたよ」
 和樹は褒められたにも関わらず、いやそうな顔をする。
 なんでよっ!
「それでね、武田先輩が、電気じゃなくて静電気が魔素の代わりになるんじゃないかって。一緒にいろいろ話をしたの。楽しかったよ」
 和樹も一緒に話ができたらもっと楽しかったかもしれないなぁ。
 でもね、和樹の考えたことを発展させて一緒に話ができたからうれしかったんだ。
 和樹がカップを机の上に置いた。
「本当に楽しそうな顔してる……、なぁ、姉ちゃん、武田先輩って誰?」
 ん?
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