義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した【中編】
 もしかして、異世界知識を競うトーナメントか何かでも始まるの?!
 私は……。
 魔法陣とその隣のプログラムが書かれているらしい紙を見る。
 はい。予選落ちですね。
 ぶ、文系だもん。仕方ないじゃないか!
「そうだね。僕が和樹君と話がしたいと結梨さんに言ったんだ」
「そういうことだ。姉ちゃん。だから帰っていいよ」
 う。
 ううう。わ、私だって、和樹と武田先輩と一緒に楽しく異世界の話したいのに。
 ……
 和樹が、紙の裏に新たに小さな魔法陣を描き出した。そして、その下にプログラムを書き込む。
「小さな明かりをともす魔法陣?」
「よくわかったね」
 わ、分かりません。私にはさっぱり。
 帰ろう。はい。
 おとなしく帰ります。
 すごすご。

 それから先輩と和樹は時々会っているようだ。私も混ぜてほしいなぁって言ったら和樹ににらまれた。
 ちょっと、なんでよっ!

 あっという間に武田先輩は卒業し、私は無事2年に進級。
 そして、気が付けば3年になっていた。
 和樹は受験生。
 私はそろそろ就職活動の情報集めをしなくちゃいけない。それとともに資格試験勉強もしなくちゃ。
「で、和樹は東大に行くの?」
 夏休み、ゼミにもいかずに家で勉強を続ける和樹に声をかけた。
「はい、これ」
 ひらりと1枚の紙を和樹に渡される。
 判定模試の結果だ。
 東大、A判定。……しかも、なんか理Ⅱ?むつかしいとこじゃないの?
「そうか、和樹は東大に行くんだね……。上京するんだ」
 東京で一人暮らしするのかな。寮暮らしかな。
 家からいなくなるのはちょっと寂しいな。

■19

「どこ見てんの?」
 和樹が、とんとんと紙を指でついた。
 大学名がいくつか並んでいる一番下。
「え?ここって、私の大学……」
「そう。姉ちゃんの大学」
 な、なんで?
「どうして、東大だって合格できるのにっ!」
「医学部ならどこでもいいんだよ。別に大学病院に勤務する気なんてないんだから」
 へ?医学部?
 学部を見れば、確かに医学部になっている。当然A判定。
 えーっと……。
 私と同じ大学でも、医学部は飛びぬけて偏差値高いんだよね。
 はい。十分すごいです。……。
「で、姉ちゃんは就職活動どうするつもり?」
「えーっと、営業職は考えてないんだ。飲食業もパス。事務か総合で探すつもり。銀行はチャレンジしようかと……」
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