二人の幼なじみに愛されてます
「やっぱり、松吉君のこと意識してるよね」



帰り道に穂香ちゃんが聞いてきた。



「意識って」



「とぼけても無駄だよ。明らかに避けてるよね」



お昼休みは深く聞いてこなかったのに。帰りも一緒に帰ってくれてるし、このまま黙っているのも気が引けるよね。

周りに人がいないか確認してから口を開いた。



「昨日、理央の家に行ったんだ。穂香ちゃんがフラれたことが納得いかなくて……」



一瞬穂香ちゃんの目が輝いて、うんうんと頷いて先を促された。



「それで……キス、されたの」



「なるほど、それで意識しちゃってるのね」



「穂香ちゃんに話すことじゃないのに」



「気にしすぎ。私はもう吹っ切れてるから。今なら、愛乃ちゃんの恋を全力で応援しちゃうよ」



「恋って。別に好きな人いないよ? 」



「えー、じゃあ、なんで松吉君のこと避けてるの? 」



改めて聞かれるとすぐに答えが出てこない。

恥ずかしいからなのかな。でも、律くんにキスされたときは別に避けてはいなかったし。なんで理央だけ避けてしまうんだろう。なんで、理央の顔見れないんだろう。

このときは穂香ちゃんの問いに答えることができなかった。
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