極上悪魔な弁護士が溺甘パパになりました
「それじゃあ、これで」

 送ってもらった礼を言うのも忘れて、繭は樹の手からひったくるようにしてバッグを奪う。が、勢い余ってバッグの中身を足元にぶちまけてしまった。樹はクスクス笑いながら、落ちたものを拾い集める。

「焦りすぎ。少し落ち着け」
「すみません……」

 子連れは荷物が多い。仕事道具以外にも旬太の着替えやら保育園の連絡帳やら、細々としたものが繭の足元に散らばった。おまけに抱っこ紐を装着していると、かがみ込むのは至難のわざだ。結局、荷物のほとんどを樹が拾ってくれた。

「また落とすと面倒だろ」

 そう言って彼は繭のバッグを持って外へ出る。今度は繭も断れなかった。家の前でバッグを受け取った繭はあらためて彼に頭をさげる。

「いろいろとご迷惑をおかけしました。治療費はここに連絡してください」
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