彼と私のお伽噺

 カメラマンのアキコさんに撮影のお礼を言って別れると、セントラルパーク内を歩いて帰路に向かう。

 秋のセントラルパークは今がちょうど紅葉の時期で。ところどころで赤や黄色に色付いている木々が綺麗だ。


「アメリカで紅葉が見られるとは思いませんでした」

「東海岸は日本みたいに四季があるからな。春には桜が見られる場所もある」

「そうなんですね」

 よそ見をしながら歩いていると、昴生さんが私の手をとって握った。


「前見て歩かないと転ぶぞ」

「子どもじゃないし、大丈夫ですよ」

 口を尖らせながら振り向くと、口元を緩めながら目を細めた昴生さんが私の肩を抱く。

 彼とくっつき合って歩ける距離に、満たされた幸せな気持ちになった。

 こんなふうに、昴生さんとふたりきりで歩ける時間もあと半年。春が来れば、子どもが生まれてきて。私たちは三人になる。

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