彼と私のお伽噺

「あの、……」

「これからはいじめられたら俺が助けてやる。その代わり、お前は俺の言うことなんでも聞け。お前、今日からオレ専用パシリな」

 お礼を言おうとしたとき、男が黒褐色の瞳を細めてニヤッと笑った。

 私が知っているなかで一番綺麗な顔をしたその人は、出会った頃から自分勝手で横暴だ。


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