冷めない熱で溶かして、それから。


 電車で寝ているときと同じように、とても綺麗で整った顔がはっきりと見える。

 松野くんは私に気づくことなく、今も夢の中だった。


 音を立てないように近づき、ベッドサイドに津田くんから預かったパンの袋を置いた。


「ひとこと、何か書いておいたほうがいいかな……」

 目が覚めて中身の入った袋だけあったら怖いよね?
 せめて誰からなのかを書こう。

 今は手ぶらのため、保健室にある紙とペンを借りようかと思ってカーテンの外に出ようとしたけれど、誰かに腕を掴まれて制されてしまう。


「松野くん、起きて……⁉︎」

 この場にいるのは私と松野くんしかいないため、すぐに掴まれた手の正体が彼であるのはわかったけれど。

 おどろいて振り返った私を、松野くんは不機嫌そうに見つめていた。


「もう帰るなんて酷くないですか、先輩」

 ゆっくりと体を起こす松野くん。
 慌てて駆け寄り、体を支えようと手を伸ばす。

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