冷めない熱で溶かして、それから。


 けれどそれは松野くんがあんなことするからであって……私は別に、何も悪いことして……ないかと。


「ああ、もしかして朝の電車の時間を早めて先に行ったことに関してですか?悪いと思ってたんですね」

「すごく根にもってる……!」


 やっぱりそれで怒ってるんだ。
 松野くんは笑っているけれど、作り笑いなのはバレバレだしどこか冷たくて怖い。


「当たり前じゃないですか。頑張って今日も早起きしたのに、置いてかれた俺の気持ちを考えたことあります?」

「別に一緒に行く約束をしてたわけじゃないし……松野くんが悪いというか」


 思わず視線を外しながら言い訳を並べる。

 けれど一緒に行く約束はしていないし、昨日松野くんがあんなことをするから……逃げてしまったのだ。

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