冷めない熱で溶かして、それから。
6.逃げるのは逆効果
その日から私は、松野くんを避けることにした。
もう二度と松野くんとは関わらない……!
関わるのは危険だと認定することにした。
さっそく行動に移すため、私は翌日から電車を一本早めることにした。
その結果、松野くんと通学中に会わずに済み、安心していたのも束の間──
「あれ、先輩も帰るところですか?奇遇ですね」
放課後、駅のホームで松野くんの姿があった。
完全に油断していた!
松野くんは偶然を装っているけれど、ぜったいに待ち伏せされていたよね⁉︎
「ま、つのくん……どうしてここに」
「俺も帰る方向が同じなんで、偶然居合わせることぐらいありますよ。どうしてそんなに驚いてるんですか?何かやましいことでも?」
うっ、言い方に棘が……。
もしかして怒ってる?
朝、先に行っちゃったから?