魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 うっかり、こう、画面の向こう側を見ている気持ちになって、ちょっと反応が遅れちゃう。
『うんうん、なかなかいい感じに鍛えられてきたよね。まぁ、まだまだと言えばまだまだなんだけれど、素振り1000回行けるようになったし』
 へ?素振り?
 ディラの言葉に首をかしげる。
 もしかしてネウス君は何か秘密の特訓でもしてる?ディラはそれをこっそり見てたりする?
 まぁいいや。男の子の秘密を暴くものではないよね。
 ちょいとディラの顔を見ると、ディラと目があった。
『できるの楽しみだな~』
『うむ。本当に楽しみじゃ』
 へ?
 ディラがついに、退屈しすぎて腹話術を始めた?
『ん?何、今の声?』
『ワシじゃ』
 って、まって、ディラの腹話術じゃない。ディラが声と会話してる。
 この声、聞き覚えが……あるような……。
『うわぁーーっ、誰?何?どうして?僕と一緒?いや、違う、もしや、まさか……えーっと、は、初めましてディラと言います……えーっと、あなたは?』
 ディラがしゃがみこんで、剣に腰掛けている小さな人間に話しかけた。
『ワシはノームじゃ』
『あああ、やっぱり、えっと、そのとんがり帽子に、ノームというお名前……あなたは、地の精霊でいらっしゃいますね!』
 やっぱり。ノームさんだ。
 というか、ディラはノームの姿が見えるの?
 見られる人は、まれだって言ってたよね?
 もしかして、幽霊だから、精霊が見える?霊体同士なら見放題?
 ……にしては、なんか、ノームおじいちゃん、人との会話もあんまりしてない感じだったよね。幽霊ならあちこちにいるのに。
『おお、お主には分かるのか?なかなか見どころのありそうな青年じゃ』
『ああ、やっぱり地の精霊ノーム様でしたか!お噂はかねがね伺っております』
『噂じゃと?とんがり帽子が似合うおちゃめな精霊だとでも噂されておるのかの?』
 ……ノームおじいちゃん、とんがり帽子大好きなんですね。
 そういえば、鳥に奪われそうになって木に引っかかって大変な目にあってたくらいだもの。

『古臭い帽子をいつまでもかぶっているが、禿隠しだろうと』
 ディラがニコニコ笑顔で、噂をノームおじいちゃんに話している。
 ……あほの子ですか、ディラ……。
 300年の間に人との会話というものの作法だとか空気を読むとか忘れちゃったのか、もともと備わっていなかったのか……。
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