魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 たかがパンとシチューという感覚なんだけれど、そうだよね。砂ネズミとサボテンの生活からしたらご馳走だろう。
「村のみんなにも食べさせてやりたい……」
 優しい子だなぁ。
「村のみんなにも食べさせてあげよう。シチューならまだあるから」
 ネウス君が喜んだ顔を見せたのは一瞬で、すぐに顔を曇らせた。
「俺、ユキのためにならなんだってしてやりたいのに、してもらってばかりだ……」
 ぐっと悔しそうにこぶしを握り締めるネウス君。
「すっ、砂ネズミは私、食べたことがないから楽しみよ。村に帰ったら、一番おいしい食べ方教えてね。一緒に食べようね。それからサボテンの汁も美味しかった。また見つけてね」
 ネウス君を励ますように慌てて口を開く……これで、砂ネズミを食べることが決定しました。……しました……。
 せめて、料理したらあの姿がなくなりますように。丸焼きは勘弁してください……。そう、回避するのことはもう一つあった。
「あと、血は栄養が足りない人にあげて。私は街を追い出されたばかりでまだ元気だからね?」
 血が飲みたくないというのもあるけれど、実際私よりも目の前のネウス君、それから村の人たちの方が必要だろう。ネウス君は優しい。村の人たちに虐待されてこんなにやせ細っているわけじゃないと思う。とすれば、村人全体が食べる物が少なくて大変な生活をしているということだ。
「あ、ありがとう……あの」
 まだ、ネウス君が申し訳なさそうな顔をしている。
「ねぇ、村にはどれくらいの人がいるの?」
「あ、うん、えーっとコレだけ」
 ネウス君が手を開いて見せた。パーの形だ。
 5人?……5という数字は分からないのかな?さっき3か月と言っていたから、分かるよね?いや、3より大きくなると分からない?
 もしそうでも、仕方がない。食べるものに事欠く生活してるのに、教育だけ行き届いているはずがない。
 しかし、たった5人の村?

「どういう人がいるのかな?」
「おばばと、それから妹と弟たち」
 うん。あとは?と聞こうとしてお母さんやお父さんがいないという可能性を考えて聞くのをやめた。
 魔力0……は捨てられる。親が捨てない可能性はない。捨てられた子供と、おばばという人だけの集まりかもしれない。5人か……。
「私、村に行っても大丈夫かな?よそ者は入れないとかそういうのない?」
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