魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 その言葉に、ネウス君が青ざめて駆けだす。律儀に、ディラを抱えたままだ。
 慌ててその後ろを追う。
「ミーニャ!」
 4つほど建てられた粗末な家とも呼べない家の一番手前の屋根の下に、12歳前後の少女が寝かされていた。
 生きているのか死んでいるのかもわからないほど静かに、枯葉が敷きつめられた上に、そっと横たわっている。
 ネウス君が剣を地面に置いて、ミーニャちゃんの枕元に膝まづく。
『生きてるよ。大丈夫。今助けるよ』
 と、聞こえもしないのにディラがネウス君の背中を撫でた。
『ユキ、エリクサー……でなくて、病気ならハイポーションで充分だね。収納鞄からハイポーション取り出して、スプーン1杯くらいあげて』
 ハイポーション?また新しい単語が出てきたけれど、言われるままに収納鞄からハイポーションとスプーンを取り出す。
「ネウス君、ミーニャちゃんの上半身を起こして支えてあげて、薬を飲ませたいから」
「あ、うん」
 ハイポーションは、エリクサーの瓶よりも一回り大きな瓶に入っていた。液体の色は薄桃色でおいしそう。エリクサーは墨汁色だとすると、ハイポーションはイチゴミルクのような色だ。蓋を取ると、ふわりとイチゴミルクの匂いがした。
 え、味もイチゴミルク?気になるけれど、味見なんてする余裕はない。
 スプーンに垂らして、ミーニャちゃんの口に運ぶ。
 意識がないし、飲み込める状態じゃないけれど、スプーンの液体を口に入れると、土気色していた顔色が次第に良くなっていく。
 30秒ほどすると、こくりとミーニャちゃんの喉が鳴った。ああ、飲み込めたんだ。
 それからゆっくりと両目が開く。
「ああ、お兄ちゃんお帰り」
「ミーニャよかった!」
 ネウス君がミーニャちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「ミーニャ姉ちゃん助かったの?」
 私の背後からドンタ君の探るような声が聞こえてきた。
「ありがとうユキ。ユキのおかげだ」
「ユキ姉ちゃん、ありがとう」」
 笑顔がある。ガリガリに痩せて決して裕福ではないというのに、笑顔がある。
「ありがとう、ユキお姉さん……私……助かったんですね。なんだか、すっかり体が軽い……」
 ミーニャちゃんも笑っている。……って、体が軽い?
 生死の境を何日もさまよっていたのに?ハイポーションってすごいなぁ。
「何日も寝ていたなら、水分を取って、食べられそうなら食事も」
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