魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
 何か出そうか。鞄から。と、収納鞄に手の伸ばしかけたところでネウス君が声を上げた。
「そうだ、ミーニャ、砂ネズミが捕れたんだ。ユキ、血は……」
 お!ラッキー。この流れ、血を飲まなくてもいいやつだ。

「もちろん、出てこい砂ネズミ、ミーニャちゃん、ネウス君が捕ってくれた砂ネズミ。栄養取らないとね。喉も乾いてるでしょう、血を飲みなさい、飲みなさい」
 ミーニャちゃんが砂ネズミを受け取った。
 大事そうに両手で抱えている。いや、逃げないように押さえつけてる?……っていうか、平気なんだよね、そうか……。
「わー、砂ネズミだ、今日は肉?肉が食べられるのか?」
 ドンタ君が嬉しそうな声を上げる。
「じゃぁ、さっそく料理に取り掛かりますね。ユキお姉さんも食べてくれますよね?」
 ニコニコと嬉しそうなミーニャちゃんに、頷いて見せる。
 収納鞄の食べ物を出すなんて、皆の厚意を無下にするような真似はできないね。
 砂ネズミを抱えたミーニャちゃんの後をドンタ君が弾むようについていった。
「騒がしいと思ったら、ネウスが戻っていたんじゃな……ミーニャは、そこの見慣れない顔……ユキとやらが助けてくれたのかの」
 しわがれた声に振り返ると、腰が曲がった小柄な老婆がいた。やはり、今まで見たどんな老人よりも痩せている。
「おばば!」
 ネウス君の言葉に、彼女がおばばだということが分かる。
 おばばさんの手につながれた2歳くらいの女の子もやってきた。
 女の子は、おばばさんの手から逃れると、ドンタ君とミーニャちゃんの方へ走っていく。
 5人と言っていた。ネウス君、ミーニャちゃん、ドンタ君、おばばさんと2歳児の5人だろうか。
「初めまして。ユキと言います。魔力0で、街を追い出されて困っているところを、ネウス君が村に連れてきてくれました」
 開いているのか閉じているのかさえ分からないおばばの目が、私を値踏みするように上から下までを見た。
「ユキは、この国の人間じゃないじゃろう?遠いところから連れてこられたんじゃろ?」
 はい。異世界から召喚魔法で無理やり連れてこられました。なんでおばばには分かるのかな?あ、服装も顔もこの国の人間とは違うから分かるか。
「魔力0だったのは運が良かったの」
 え?運がいい?ゴミのように街の外に捨てられたのに?
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