契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「いい……の?」
「そんなことで言いたいことも言えなくなるより、活発に意見が交換できたほうが面白い仕事になるんだ」
 それには美冬も同感だ。

 槙野は手元の自分の資料を開いた。
「じゃあ、説明する。ミルヴェイユは大きく業績は下がっていない」

 販路が問題だと槙野は言う。それは美冬も薄々感じていた事ではある。

「販路……ね。ネット掲載にも限度があるのよね」
「実際それにも広告宣伝費がかかるからな。かといってすべてを網羅することは難しいし、ブランドイメージもあるからそこは維持したい。けど新しい販路は欲しい」

 そうなのだ。
 祖父が50年以上もかけて作り上げたブランドイメージだ。美冬もそれを損なうようなことはしたくなかった。

「秘密保持契約もあるから詳細には説明できないが、今、ミルヴェイユと業務提携したいという会社がある。メールはその件だ」

「秘密保持契約があるから、あのメール内容だったのね」
「詳細が分からなくて美冬がムズムズしてるんじゃないかと思ってな」

 バレている。
「ムズムズって言うか……気にはなっていたけど」

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