契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「でも、建物同士が遠すぎるわ。お客さまの中にはお年を召した方も多いし、移動は少ない方がいい。ここは建物の横にチャペルがあるし格式もあるもの」

 ほっそりとした美冬の手を取った槙野は人目も憚らずにその手に唇をつける。
「うちのお嫁さんマジで出来すぎ。そういうことなら、そうしよう。その優しさに惚れなおす」

 こっちはその甘々に戸惑うんですけど。


 結婚式の準備は会場、ドレスも含めて順調に進んでいた。

 また、コラボ企画の方もSNSなどと連動させながらキャンペーンも順調に進んでいると報告を受けていた。

 デパートの店頭でも、企画についてお客様から尋ねられたりすることがあるようで、やはり年齢層が若い方が興味を持っているようだったという話も聞いている。

 美冬も『ケイエム』で取り扱うコラボ商品をいくつか見せてもらったが、今までのミルヴェイユと少し違ったデザインも取り入れられていて、面白いなと感じた。

 新しいデザインでありながら、それでいてコンサバティブなミルヴェイユの雰囲気は残っていたりする。

 これならば、お客様にも楽しんで頂けるかも、と美冬は商品の発売を楽しみにしていたのだ。
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