契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
「美冬、今日の午後からすぐ見に来ていいと言ってる。支度するか」

──早っ!

 祐輔のあまりの早さに戸惑うけれど、美冬は最近はそんなのにも慣れてきたように思う。

(この人こういう人だもの)

 いいと思えば即座に身体が動く。身体を動かして判断するから会社では部下からの信頼も厚い。

 もちろん美冬もなのだけれど、なんとなくそれは分かるような気がしたのだった。

 抜かりのない祐輔の秘書が、美冬がタブレットからメールで送ったホテルを何ヵ所か手配してくれていた。

 それを二人で見学して、最後のホテルのラウンジでアフタヌーンティーセットをいただきながら、どこがいいかを検討してゆく。

「ここ……かな?」
「二番目のところ、美冬すごく気に入っていただろう?」

 それは本当だ。
 ホテルの敷地内に素敵なチャペルがあり、迎賓館と呼ばれる建物があって、そこで披露宴ができるということだった。正直、とっても惹かれた。
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