契約婚と聞いていたのに溺愛婚でした
 今までは槙野は、美冬のスーツ姿しか見ていないし、美冬も普段はパンツスーツが多いので、ミルヴェイユの服を見てもらうにはいい機会だろう。
 まさか、槙野に着せるわけにもいかないのだし。

「うん! これにする」
「きっと似合いますよ」
 デザイン室の奥にはフィッティングルームもあるので、美冬はそこで着替えをする。

 シャッとカーテンを開けて出てきたら社員達が釘付けになっていた。
「社長~! めちゃくちゃ可愛い!」

「チュールとワンピースの色違いも展開しようと思ってるんです。ワンピースはグリーンとか、パープルとか」
「でも社長はデートなので、このピンクでお願いしますね!」

 ミルヴェイユの洋服は今こうして美冬を囲んでいるデザイナー達が作っている。
 美冬が囲まれている中、デザイン室のトップである石丸が打ち合わせから返ってきた。

「ああ、そのワンピやっぱ可愛いよな」
「ねー、似合いますよね! デートって感じで!」
「デート? デートなの? 美冬?」

「打ち合わせなんだけど、高級フレンチなのよね」
「うち合わせで高級フレンチ? ふうん……。でそのワンピはどう?」
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