雨降り王子は、触りたい。



────なんて。
そんな風に願った時は大抵、上手くいくわけがない。



「あーあと、宿題についてだけ話させて」



チャイムが鳴っているにも関わらず先生はまだ話しを続けている。

…あーもう!三咲帰ってくるじゃん!!



先生の話が終わり席を立った時にはもう、すでに遅かった。

目の前には、相変わらず煌びやかな髪をした男が立っている。



「この席使ってるの、赤髪なんだ」

「え」



あまりにも普段通りの三咲の態度に、思わず声が漏れた。


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