雨降り王子は、触りたい。



なぜか癒し系美女はこちらに近づいてきて。



「赤髪、だっさ」



私の耳元で、そう言った。



………へ?



一瞬聞き間違いかと思ったけれど。

すっと顔を離した彼女が、不敵に笑ったのが見えて。

あぁ…やっぱ、人は見ためで判断しちゃダメなんだ……。

そんなことを冷静に思った。



別に、悪口を言われたって全然へっちゃらだ。

だけど……ズキズキと胸が痛いのは。

三咲が女の人と一緒にいるのを目の当たりにしてしまったからなんだと思う。



……ほんとに合コン参加してるんだ。

わかっていたことだけど、実際にその姿を目にすると、思ったよりもダメージが強かった。

胸の中が鉛色に支配されていく。


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