雨降り王子は、触りたい。
見た感じ、今までの関係と変わってなくない…?
そんなことを呑気に考えていると、杉山が走り抜けた軌道を追うようにして、風が吹いた。
私は思わずバランスを崩す。
やばっ…
高く積み上がった段ボールがぐらっと揺れて。
転ける…っと思った、その時。
─────グッ
限界が来ていた腕が、誰かに支えられた。
間一髪。助かった。
きっと、この大人な香りは…
「…市川?」
「絃ちゃん、大丈夫?」
段ボールの陰からひょこり、顔を覗かせたのは想像通りの人物だった。