雨降り王子は、触りたい。



─────ゴンッ!

何かが強く打ちつける音が耳に飛び込んできた。



そしてその直後。

ガシャーン────!

何かがひっくり返ったような音が響いて。

男の動きが、ピタリと止まった。



「………なんだ?」



男の低い声が響くと、同時に腕を拘束される力が少し緩む。



何が起きたの……?

私は恐る恐る、目を開いた。



布切りバサミ、針山、メジャー…

私の足元には裁縫道具箱と、その中身が散乱していて。

わけのわからないまま顔を上げると。



「み、さき………?」



眩しい金髪頭が目に入った。


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