雨降り王子は、触りたい。



「わっ」



三咲はすぐさま男に背を向けて。



「こっち」



そう言うと私の腕を引き、勢いよく階段を駆け降りた。



「待て、お前ら────」



男の声が落ちてきたけれど、私たちは振り向くことなく、走った。



さっきまで震えて動かなかったはずなのに。
三咲に引っ張られると、不思議と足が軽くなる。

私の中にはもう、これっぽっちも恐怖心はない。
っていうか三咲の顔を見たときに、なくなったのかも。
一瞬にして力、沸いたし。

私、やっぱり単純すぎる。



繋がっている手を視界に入れると、ふにゃりと頬が緩む。

三咲はどんな顔してるのかな…?

顔を上げると。



「………っ」



私は正気に戻った。


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