雨降り王子は、触りたい。
「三咲…っ」
「ん?」
「手、離さないと…!」
少しだけど確実に見えた。
三咲の、涙。
自分のことでいっぱいになって、気が抜けてしまっていたんだ。
手なんか繋いでちゃ、ダメに決まってるのに…。
だけど三咲は。
「いいよ別に」
前を向いたまま、そう言った。
幸い今いる校舎に生徒の姿はない。
だけど徐々に、遠くの方には人影が見え始めていて。
三咲がどこに向かっているのかはわからないけど、このまま進むのはまずい。
「よくないよ…!」
私の手を掴んだままズンズン進む三咲に抵抗するように、私は足を止めた。