極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
『鞠香……?』

 そんな日々を過ごしていた俺がついに鞠香を見つけられたのは、思いがけない幸いだった。

 海運事業を扱っている関係でなんとなく眺めていたクルーズ旅行のウェブサイト。主催する大手旅行代理店のホームページを見ると、そこには新入社員のインタビューがいくつか並んでいた。
 その中の若い女性の写真にふと目が留まる。小さな写真だが、これは……。

 イニシャルはM.M、二十二歳。
 子供のころに体験したクルーズ旅行の楽しさを広めたい、というようなことが書いてある。

『……見つけた』

 これだ。間違いない。
 清楚な黒髪に白い肌。印象的な大きな瞳に、かわいらしいマリカの面影があった。

 そこからの展開は速かった。
 興信所を使い、去年その旅行代理店に就職した女性を探して、今の彼女が『光井鞠香』という名前だと知った。
 鞠香は新入社員として最初の数年はいくつかの営業所を回るらしい。その異動の前に休暇を取ってセレブリティクイーン号に乗船することがわかると、無理やり仕事を調整して俺も予約を取った。
 ちょうどグランドスイートにキャンセルが出たのが第二の幸運だったかもしれない。
< 117 / 252 >

この作品をシェア

pagetop