極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 一昨日――ウェルカムパーティーが終わったあとの『初夜』。
 この手で直接ふれた鞠香の素肌の感触がありありとよみがえった。
 とろけるように柔らかい胸。ほんのり赤く色づいたなめらかな肌の中心で、硬くとがった鞠香の……。

「だめだ、今は思い出すな」

 思わず兆してしまった欲望を心の奥底に押しこめて、妄想を追い払うように頭を振る。

 それにしても不埒極まる。
 白い胸の谷間は水に濡れ、くびれた腰は思わず抱き寄せたくなるような誘惑をはらんでいる。
 色っぽい体のラインを惜しげもなくさらし、水滴をしたたらせて無邪気に笑う鞠香。大人の女と少女が危ういバランスの中で共存している、その美しさ。

 男ならだれでも目を奪われる。その水着の下にあるものを、彼女が自分の手の中に落ちてきた時の甘さをリアルに想像してしまうだろう……。

「まり……か?」

 やや離れたところから声をかけようとして気がついた。鞠香ににこやかに話しかけ、タオルを渡している若い男がいる。

「将生」

 弟はまぶしそうに鞠香を見つめていた。
 鞠香はおそらく単なる『婚約者の弟』として愛想よく接しているのだろうが、将生の視線は明らかに魅力的な女性を見る目になっている。
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