極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
 挑発的に光るブルーグレーの瞳がわたしを試そうとしている。

「交渉くらいしてみてもいいんじゃないかしら。外部の人は知らないかもしれないけど、今現在海堂ホールディングスの決定権は実質的に副社長の彼にあります」

 もちろんわたしは付け焼刃の婚約者。本当は海堂ホールディングスを誰が動かしているのかなんてまったく知らない。
 それでも、とにかく何か知っているように見せなくちゃ。自信のなさを悟られてはいけない。

「今ならまだ間に合うと思います。あなたもビジネスパーソンなんでしょう? 三倍の金額を引き出せるチャンスがあるのに、ふいにするの?」

 必死に説得するわたし。

「あんたも口がうまいじゃないか」

 でも、オリバーさんは興味を惹かれたような顔をしながらもなかなかのってこない。
 身代金をもっと吊りあげようとしているのか。もしかしたら単に、わたしに希望を持たせていたぶろうとしているのかもしれない。

 ……その悪い予感は当たった。

「さて、お遊びにはそろそろ飽きてきた。それほど時間に余裕があるわけでもない。せっかくなら今この時をお互い楽しもうぜ」

 オリバーさんの目が暗く陰る。
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