極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
「音楽はあんなふうに誰かを楽しませることができるんだということを知って、まじめにレッスンを受けるようになって……、今は音楽大学に通っているんだ」

 将生さんも海堂家の次男として、自分の母親と翔一郎さんの母親の確執の中で大変な思いをしてきたのだろう。そんなシビアな毎日に希望を与えてくれたのがピアノだったのかもしれない。

「だから、僕がピアニストになるという夢を持てたのは、兄さんと鞠香さんのおかげ。二人にはすごく感謝している。ただ幼いころは、てっきり兄さんも音楽家を目指すのかと思っていたんだけど……」

 将生さんははす向かいに座る翔一郎さんを見て、静かに笑った。

「兄さんはもうあの時、鞠香さんを選んでいたんだよね」
「わたし……?」

 怒ったように眉間にしわを寄せる翔一郎さん。でもそれは本当に怒っているわけじゃなくて、気まずい時の表情なんだとなんとなく伝わってくる。
 
「選ぶって、どういう意味なの?」

 翔一郎さんに聞くと彼の顔がさらに険しくなり、将生さんがプッと噴き出した。

「あとは二人でやってよ。僕はもう退散する!」
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