極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~
若い日本人女性たちがささやきあっている。
最初の夜、ウェルカムパーティーで場違いなワンピースを着ていたわたしを見て、くすくすと笑っていた日本人のご令嬢たちだ。
わたしに赤ワインをかけた当の綾乃さんは、むっつりと無言でこちらを眺めていた。ただどうやら綾乃さんは、わたしがあの夜に嘲笑されていた『マナーを知らない恥ずかしい日本人』だということを友人たちには暴露していないらしい。
翔一郎さんのことをあきらめたのか、それとも何かほかに意図があるのだろうか。
「新郎ショウイチロウ・カイドウ」
船長さんが翔一郎さんに呼びかけた。
あ、誓いの言葉が始まるみたい。
翔一郎さんは黒い燕尾服をまるで普段着のようにナチュラルに着こなしていた。誂えのディナージャケットは彼の引き締まった体を男らしく引き立てていて、その優雅な立ち居振る舞いもあいまって完璧な貴公子に見えた。
「あなたはここにいるマリカ・ミツイをいついかなる時も妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」
「はい、誓います」
その貴公子が低く響く素敵な声で愛を誓う。