その狂女、ミイラ女と化す
悲しいのか、怖いのかわからないぐちゃぐちゃに崩れた表情。

お願いだから、お姉ちゃんをそんな顔で見ないでちょうだい。

だいじょうぶ、一瞬だよ。


わたしは壁際に置いてあった冷蔵庫に手を伸ばす。

病室用の冷蔵庫は家のと違ってコンパクト。

わたしは軽々とそれを持ち上げ、弟の頭に振り落とした。

「いい感じだな。その調子だ」

死神の声が耳を過ぎる。


ふと思った。

わたしはあなたに操られてる?

いま、見えているその男の子も、こうやって誰かを殺したってこと?

ほんとうに、これでいいの?

でも、その迷いは一瞬で頭から消え去った。
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