ダークグリーンに魅かれて
えっ・・いいの?
「家まで送ろうか?」

と拓巳くん。そんな彼氏らしいことしてくれるなんて、キュン、としちゃう。

「送ってくれるの?」

「もちろん。まだ話したりない気がして」

「あ、吉祥寺からもバスで帰れるの。交通事情にもよるけど、20分くらいかな」

「構わないよ」

「ありがとう」

吉祥寺駅から三鷹駅行きのバスに乗った。

「私の家族はね、父と母、3つ年上の兄の4人家族なんだ」

「へぇ。家族仲良い?」

「うん、割と。いつもみんなでワイワイやってるよ」

小さい頃からそれは変わらない。私は幸せな家族に生まれたのだな、と思う。

「そっかぁ、だからこんなに優しい娘に育ったんだね」

そんな事言われたら、赤くなってしまう。

「私、優しいかな?」

「優しくなかったら友梨香のこと可哀想とか思わないよ」

「かなぁ?」

「あと、醸し出す雰囲気がすごく優しい。声も」

「そんなに褒めたって何も出ないよ?」

もぅもぅ、嬉しすぎる、けど。顔が自然と緩む。

「沙里のそんな顔を見られるだけで充分だ」

「もうっ・・・ついでに私の家族にも会っちゃう?」

我ながら思い切って誘った。出会って初日だよ?OKされるわけが・・・。

「いいね!会ってみたい」

と快諾されて、チカラがふにゃふにゃと抜けてしまいそうになる。

「えっ、いいの?」

「誘っといて、なんだよ」

拓巳くんは余裕だ。そうこうしているうちに、最寄りの停留所が近づいた。

「次、降りるから」

「分かった。いよいよ沙里の家族と対面だな。僕、どう思われるかな」

「イケメンな彼だな、って思われるよ」

「それだけ?」

拓巳くんがいたずらそうな瞳で聞いてくる。

『いい人だな、とも思われるって」

2人で停留所に降り立ち、歩いて3分。閑静な住宅街に私の家はある。緑に囲まれた小さな木造建ての家~ここが私の家だ。


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