ダークグリーンに魅かれて
兄さんとおしゃべり、そしてパパの帰宅
リビングのソファに3人で座ると、兄さんが言った。

「何か飲みます?あったかいほうじ茶でもどうですか?」

「ありがとうございます、すみません」

「私、淹れるよ。2人で話してて」

私が席を立つと、さっそく兄さんが質問していた。

「その瞳の色は・・・カラーコンタクト?」

「いえ、自前です。母方の祖母がオーストラリア人で」

何回もされている質問なのだろう、スラスラと答えていた。

「へぇ~、キレイな色だね。な、沙里?」

ローテーブルでお茶を淹れながら、私は答える。

「うん、吸い込まれるようなダークグリーンだよね。私、最初実はそこに魅かれたの」

「今は、好きなところがいっぱいある、みたいな言い方だな。」

からかうように兄さんが言う。その通りだ、拓巳くんのいろんな面を見た1日だった。

「大学は?どこに行ってるんだい?」

「南条大学経済各部の1年生です」

「へぇ、南条かぁ。友達が何人か行ってるよ。僕は東亜大学4年」

「就職シーズンも終わりに近づいていますよね」

「ああ。僕は、家電メーカーに内定もらったよ。今は卒論が大変だな。今のうちに学生生活を満喫するといいよ」

兄さんが先輩ぶって行った。

あったかいほうじ茶を3つ、ローテーブルに置いて、私はからかいのお返しをした。

「兄さんは優希(ゆき)さんと充実した学生生活を送ってるもんね。卒業したら結婚するの?」

兄さんと優希さんは高校時代からの付き合いだ。優希さんによると兄さんの猛烈アタックがあったという。もう6年目になるはずだ。

「う~ん、考え中。もう少し、金貯めてからのほうが良いかな、とも思うんだ」

「そんな事言ってると、優希さんに逃げられちゃうよ。早いとこプロポーズしなよ」

「6年って・・・長いかなぁ、女として?」

「長いよ!まだ待たせるの、って思われちゃうよ?}

「そっかぁ」

拓巳くんは、そんな兄妹(私たち)の会話をくすくすと楽しそうに笑いながら聞いていた。

「2人は?付き合ってどのくらい?」

興味深そうに兄さんが聞いてくる。まさか、今日出会ったばかりとは言えないよね?と拓巳くんに視線をおくると、任せといて、のうなずき。

「1ヶ月経ってないです。まだほやほやです」

「そっか~。まぁ、そのうち倦怠期とかも来るだろうけど、乗り越えて行ってほしいな」

「はい」

2人で声をそろえて言った
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