ダークグリーンに魅かれて
ボートを降りると、ちょうどお昼のころだった。

「お弁当、持ってくればよかったね」

「まさか、こんな展開になるとは思ってもみなかっただろ?近くに、僕の行きつけのカフェがあるんだ、よかったら・・・」

と拓巳くんが言うや否や

「行く!」

と宣言した私。拓巳くんが嬉しそうに笑った。

「その前に、2人で記念写真、とってもらおう!」

拓巳くんが提案する。

「そだね」

通りがかりの人のよさそうな中年の男性にシャッターを押してもらうのを頼んだ。

「ほら、そんな直立不動じゃなく・・・そうだな、彼氏、彼女をバックハグして」

「えっ!」

2人同時に声を上げた。

「ほらほら、何照れてるの!?」

拓巳くんが、優しく私を後ろから抱きしめてくれる。うわ~、ドキドキする。

カシャリ!

「うん、いいのが撮れたよ。確認して」

そこには、どうみても初々しい『カップル』の照れたような笑顔があった。

「ありがとうございます!」

「どうってことないよ。じゃあ、幸せにな」

ヒラヒラ、と手を振りながら去って行くオジサマだった。まさか、このオジサマと運命の再会をするなんて、そのときの私たちは想像だにしていなかった。




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