ダークグリーンに魅かれて
「乗ろっか、せっかくだからボート」

「そだな」

ボート乗り場は平日のせいか思いのほか空いていて、すぐに乗れた。

「沙里ちゃん、こぐ?」

「拓巳くんにお任せします」

「よっしゃ!」

拓巳くんがオールを取ると、すいすいボートは進んでいく。

「上手いね!」

「まぁね、キャリアが違う。年の離れた弟が2人いるから」」

「へぇぇ」

「2人とももう5年生だから、さすがにもう僕とは乗りたがらないけど」

「えっ、双子なの?」

「ああ。僕でもたまに間違うくらい、そっくりな双子だよ」

「そうなんだ。拓巳くんにも似てる?」

「いや・・・僕は母親似だけど、2人は父親似だから」

一瞬、彼の顔が曇ったように見えたのは気のせいだろうか。
< 5 / 20 >

この作品をシェア

pagetop