そんなの関係ないよ!
11時半、亨兄が私を迎えに来た。ストライプのセーターにコーデュロイのパンツ、ダウンコートを羽織っていた。

「亜里沙・・・可愛い」

私の格好を見て、亨兄がつぶやいた。思わず、赤面する。

「とっ、亨兄だって、かっこいいよ」

「ありがと。行こか」

余裕の笑み。やっぱり、年上なんだなぁ。私のクラスメイトの男の子たちとは違う。

「ん。」

右手を出す亨兄。戸惑いながらも、左手を亨兄の掌に乗せて、ギュッと繋ぐ。

その様子を見て、ママが言った。

「もしかして、あなたたち、くっついちゃったの?亜里沙、バレンタインの結果、聞いてなかったけど・・・よかったね」

ホントに嬉しそうな表情のママ。その後ろで、微妙な表情をしているパパがいた。

「行ってきます」

家を出て、駅前のバーガーショップに向かう。私たちって、どう見えてるんだろう?仲の良い兄妹?恋人同士には、見えないよね・・・。

そんなことを思っていたら、無口になっていた。

「亜里沙?どした?やっぱ、バーガーショップじゃつまらなかったか?」

「ち、違うの。私たち、彼氏彼女には見えないかな、って思って・・・そしたら、なんだか哀しくなって」

亨兄はまっすぐに私を見つめると、ぎゅっと抱きしめてくれた。

「他の誰に恋人同士に見えなくても、亜里沙は僕の大切な彼女だよ」

「本当?」

「じゃなかったら、『デート』なんてしない。大好きだよ」

「ありがと、亨兄。亨兄に追いつくことはできないけど、私、亨兄のこと、ずっと大好きでいる」

「サンキュ。さぁ、ついたよ。何を食べる、僕のお姫様。好きなもの食べていいよ」

「う~~~ん」

しばしのあいだ、メニューを見上げて迷っていた私だった。
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