そんなの関係ないよ!
亨くんのお母さんの焼きそばを見て、ぎょっとした。赤と橙と黄色の鮮やかなパプリカ・・・。

「じゃあ、いただこうか」

と亨くんのお父さん。

「どうぞ、召し上がれ」

笑顔の亨くんのお母さん。

「亜里沙?どした?」

固まっていた私に気付いた亨くんが言う。

「なっ、なんでもない。おいしそう。いただきまぁす」

大丈夫よ、パプリカなんて、パプリカなんて・・・。

ぱくっ、もぐもぐ、ごっくん。うっわ~、何とも言えない香り・・・。

思わず、青ざめてしまった私。

「亜里沙ちゃん・・・?何か悪いモノでも入ってた?」

はい・・・パプリカがたっぷりと・・・とは言えず。

「な、なんでもないです。おいしいです」

「・・・って顔、してないけど?」

もう、ギブアップだ。

「あの・・・私、実はパプリカが・・・なんというか・・・」

「そっか、嫌いだったのね。亨がパプリカ好きだから、ピーマンじゃなくていつもパプリカなんだけど、ピーマンの方が良かったね、ごめんね」

亨くんのお母さん、本当に申し訳なさそうで。

「でも、1口でも食べてくれて嬉しかった。残りは食べなくても大丈夫よ」

「本当に?」

「大丈夫、亨にやっちゃって」

「亜里沙、無理せず任せろ」

亨くんが笑顔で言う。

「ごめんなさい・・・いつかは、いつかは食べられるようになります!」

「そうね。結婚したら、亨と一緒に食べることになるだろうから、そのほうが良いかもね」

お茶目に亨くんのお母さんが言った。

ボッ!

と同時に赤くなった亨くんと私なのだった。
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