離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 その後は結婚に向けて、話が急速に進んだ。早速凛音は暁斗の実家の両親――剣持家に挨拶にいった。
 剣持家は都内でも有名な閑静な住宅街に居を構えていた。代々医師家系で幾つもの医療機関を経営している由緒正しい家に自分のようなド庶民が受け入れて貰えるのか、凛音は不安と緊張でガチガチだったのだが、暁斗の両親は凛音を歓迎してくれた。

 九王総合病院の院長でもある暁斗の父は院内での印象通り威厳がありつつも話しやすい人格者で、凛音の緊張を解こうとしてくれていたし、美人で若々しい母はとても好意的だった。

『暁斗はそっけないでしょう?特に女性には冷たい所があるから、心配していたのよ』

 やはり彼の両親は仕事ばかりしている次男が本当に結婚するつもりがあるのか疑っていたらしい。

 相当心配だったのだろう『凛音さんみたいにかわいいお嬢さんとお付き合いしていたなんてねぇ、取り越し苦労で良かったわ』と喜ぶ暁斗の母の言葉に『嘘を付いてごめんなさい』と凛音の心は罪悪感でチクチクと痛んだ。

 肩透かしを食うほど剣持家の人たちには反対されずにホッとしたのだが、問題は凛音の弟、遼介の方だった。
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