離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 日を追うごとに連れ、彼に求められることの喜びを覚え、そして一人で朝を迎える事の寂しさが増していく。

(やっぱり好き合って結婚したわけじゃないし、普通の夫婦とは違うんだから……一緒に寝るなんて気にはならないよね)

『普通とは違う』事を再認識し、再び胸にツキンとした痛みを覚える。

 好物を食べて気を紛らわせようと、堅めのカスタード生地をスプーンで掬って食べる。バニラビーンズの香りがしっかりしていて、とてもおいしい。

「――君ら姉弟は、仲が良いんだな」

 凛音が黙って食べ進めていると暁斗が急に呟く。

「え?はい、そうですね。よく仲が良いって言われます。あの子は小さい頃からとても私に懐いてくれていて、可愛くて。あんなに立派になっちゃいましたけど、私にとってはやっぱり弟で、未だについ心配し過ぎちゃうんです」

 この結婚を決意したのは他でもない遼介の為だ。暁斗もそれを知っているはずだが、これでは、凛音こそ弟離れした方が良いと言われてしまうかも知れない。

 でも彼が続けたのは弟離れの話では無かった。
< 67 / 170 >

この作品をシェア

pagetop