離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~
 暁斗が降り立ったのは3Fのレディースのフロアだ。てっきり5Fにあるメンズフロアに行くのかと思っていた凛音は首を傾げる。
 シックで落ち着いた雰囲気のフロアには凛音でも知っているブランドや、名前すら知らないが、きっと高級なのであろうブランドの店舗が並んでいる。

「ここで合ってる」

 言いながらさっさと歩いて行ってしまう暁斗を凛音は慌てて追いかける。
 彼は最初から行き先を決めていたように迷いなくある店に入っていく。明るく広い店内には若い女性が好みそうな可愛らしく品の良い服や小物がディスプレイされている。

「剣持です」

 暁斗が名前を告げると女性店員が「お待ちしておりました!」と迎え入れる。

「どういうことですか?」

 さらに困惑を深める凛音を女性店員が「ご主人から今日は奥様の為に服を一式揃えるので見繕って欲しいとご連絡頂いておりまして」と満面の笑顔で店の奥へ連れ込む。

 えっ、と驚いて暁斗を振り返る。

「俺は女ものの服なんてよくわからない。こういうのはプロに任せた方がいいぞ」
「そういう事ではなくてですね……」
 
 戸惑う凛音をよそに店員は次々と用意していた服を勧め、凛音は試着し、着替える度に暁斗に披露していく。
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