クローバー
慶side

「引っ越すぞ。」

朝起きて、親父の一言目がそれだった。

クソ親父は頑固もので、1度言い出した事は絶対に曲げない。もうそれは俺達が嫌なくらい分かっている。


親父に文句を吐きながら、ある程度の荷造りをして家を出た。まだ、荷物は沢山残っているが、それはおいおいだ。


ちっ。クソ親父め!!!
だから昨日、絶対夜帰って来いって言ったんだな。親父がそんな事言うなんておかしいと思っんだ。


引っ越し先は、親父の再婚相手の家。親父の再婚はこれが初めてじゃない。はっきり言ってまたかって感じだ。


親父は車の中で俺達に新しい家族のことについて話す。


ちっ。妹かよ。前回親父が再婚した時妹ができてそれはもうめんどくさかった。媚びをうったり、身体をベタベタ触ってきたりしまいには彼女にしろとまで。あれは気持ちが悪かった。


まぁー、俺がカッコよすぎるのが悪いんだろうけどな。


引っ越し先に着いた後、親父の結婚相手もとい俺達の新しい母親になる人に挨拶をした。


親父。相変わらず趣味がわりーな。こんなケバくて臭い女のどこがいいんだか。


挨拶をし終わったその時、リビングの扉が開いた。


っっっっ!!


思わず見とれてしまった。
人形のようなぱっちりとした瞳。プルンとした唇。片手で覆えるんじゃないかってくらい小さな顔。そして、癖のないサラサラとした綺麗な栗毛。


綺麗だ。純粋にそう思った。


でも、女なんて一緒だ。こいつもきっと俺達に媚びを売ってくる。そう思って先に脅して遠ざけた。


ビビると思っていた。しかし、女の反応は俺の予想とは違った。ビビるどころか、顔色1つ変えず、ただじっと俺達を見ていた。まるで敵を見るみたいに。


クククッ。面白い女。こんな女初めてだ。
親父今回の再婚は珍しく当たりかもしれな
いな。



















慶side end
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