背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
好きの先に
 短大へ入学し、想像以上に忙しい日々が始まった。ただ好きなことに集中して取り組める生活は、今までとは違った充実感を与えてくれる。

 新しい友人たちも、洋菓子、和菓子、製パンなど、それぞれの目標を持っていて、一花は大きな刺激を受ける。

 今までは漠然と『誰かのために作りたい』と思っていたが、様々な食品に触れるたびに、方向性についても考えるようになっていた。

 そんな時、いつも一花の作るお菓子を美味しそうに食べてくれた尚政を思い出していた。二人の始まりはマフィン。でも一番好きだって言ってくれたのは生チョコだった。

 まだ離れて二ヶ月。こんなに先輩が恋しいなんて、この先もやっていけるのかな……。
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