背伸びしても届かない〜恋を知った僕は、君の心に堕ちていく〜
* * * *
その日は待ちに待ったマフィン作りの日だった。
音楽室に向かう吹奏楽部の芽美と智絵里と別れ、一花は調理室へ急いだ。
この学校の校舎はカタカナのコのような形をしていて、中等部と高等部の校舎の間に、職員室や各教科ごとの部屋などが集められている。体育館へは各校舎から渡り廊下が伸びていて、直接行けるようになっている。
調理室のある一階へと階段を降り、教室の扉を開けた。中では部員たちが着々と準備を進めていた。
「一花ちゃん、遅かったね〜」
「急に先生に頼まれごとされちゃって。遅れてすみません」
「大丈夫大丈夫」
中学三年生の先輩が笑顔で話しかけてくる。中学二年生の部員が一花しかいないため、先輩たちはよく話しかけてくれるのだ。
エプロンと三角巾をつけて手を洗うと、柴田と園部に手招きをされた。一花が近寄ると、
「今日は一緒に作ろうか」
と言われる。
「いいんですか?」
二人のことが大好きな一花にとっては何よりも嬉しい誘いだった。
「一花ちゃんにはちょっと簡単かもしれないけどね、誰かにあげたくなるくらい美味しく作ろうね!」
「はい!」
小麦粉をふるい、材料を混ぜ合わせ、オーブンに入れる。焼いている間に片付けを済ませていく。
調理室に甘いいい香りが漂い始めた頃、それは突然だった。調理室のドアが開き、誰かが入ってきたのだ。
その日は待ちに待ったマフィン作りの日だった。
音楽室に向かう吹奏楽部の芽美と智絵里と別れ、一花は調理室へ急いだ。
この学校の校舎はカタカナのコのような形をしていて、中等部と高等部の校舎の間に、職員室や各教科ごとの部屋などが集められている。体育館へは各校舎から渡り廊下が伸びていて、直接行けるようになっている。
調理室のある一階へと階段を降り、教室の扉を開けた。中では部員たちが着々と準備を進めていた。
「一花ちゃん、遅かったね〜」
「急に先生に頼まれごとされちゃって。遅れてすみません」
「大丈夫大丈夫」
中学三年生の先輩が笑顔で話しかけてくる。中学二年生の部員が一花しかいないため、先輩たちはよく話しかけてくれるのだ。
エプロンと三角巾をつけて手を洗うと、柴田と園部に手招きをされた。一花が近寄ると、
「今日は一緒に作ろうか」
と言われる。
「いいんですか?」
二人のことが大好きな一花にとっては何よりも嬉しい誘いだった。
「一花ちゃんにはちょっと簡単かもしれないけどね、誰かにあげたくなるくらい美味しく作ろうね!」
「はい!」
小麦粉をふるい、材料を混ぜ合わせ、オーブンに入れる。焼いている間に片付けを済ませていく。
調理室に甘いいい香りが漂い始めた頃、それは突然だった。調理室のドアが開き、誰かが入ってきたのだ。