若頭、今日もお嬢を溺愛する
「杏ちゃん…杏ちゃん自身がプレゼントみたい……」
「え?そ、そう?」

「このリボン解いたら、もっと可愛い杏ちゃんが出てきそう」
「え?」
「色白で柔らかくて、甘い匂いがする肌。
俺の印(キスマーク)も沢山ついてる。
今日はいっぱい、甘い声聞かせてくださいね!」

「雷十…」

「このプレゼント……開けていいですか?」
淡い照明と、大きな窓からさす月の光……

雷十があまりにも綺麗で、目が離せない。

雷十の大きな手が、胸元のリボンにかかる。
「あ…ま、待って!!」
「ダメですか?」
「まだ、ダメ……」
「でも……我慢が……」

「だ、だって…ここでドレス脱いだら、ベッドに連れてかれて気づいたら明日の朝でしょ?
私、もっと景色みたり、雷十とおしゃべりしたい!」

「………」
「雷十、お願い…」


「じゃあ……鬼ごっこしましょう!」


「は?」
「もちろん、俺が鬼です。
この階のフロア、俺達だけしかいないんです。
だから俺が呼ぶまで誰もこの階には来ない。
そうだなぁ……30分間俺から逃げ切ることができたら、もう少し我慢します!
その代わり、捕まえたらもう…容赦しません……!
こんな綺麗で可愛い杏ちゃんを前に、抱き合えないなんて酷すぎる……
10数えるから、逃げてください!」
「雷十…」

「10、9、8、7……ほら、早く逃げないと……杏ちゃん壊されますよ?俺(鬼)に……!!」

杏子は部屋を出た。

「あんな妖しい雷十…初めてかも…?
私だって、抱かれたいけど……
でもまだ、普通にお話したいしな……
………………と、とりあえず、逃げないと……」


その頃の雷十━━━━━━

「2…1!行くか!
………まさか、あんなドレス選ぶなんて、困った姫だなぁ(笑)
……………どうすっかなぁ。たぶん、杏ちゃん見つけたら理性なんて…吹っ飛んでなくなるだろうな……
もう少し、ここで頭冷やすか!!
………てか…ほんっと、ドレス似合いすぎだろ…!?」
雷十はソファの背もたれにもたれて、煙草を吸い出した。そして天井に向かって、煙を吐いた。


「雷十…」
「え……!?杏ちゃん??早く、逃げないと!
もう、10秒経ってますよ?」

「だって!雷十と離れなくないもん!
どうして、逃げろなんて言うの!?
せっかく一緒にいるんだから!!」

「はい、すみません…」
ゆっくり、雷十は立ち上がる。

「プレゼント…開けていいから、離さないで…?」

「ほんと……杏ちゃんにだけは、敵いません……」
ゆっくり、杏子の元に歩みながら言葉を続ける。

「え?」
「そんな可愛い甘い声、どこに隠してたんですか?
これ以上、俺の心奪ってどうしたいんですか?」

そして━━━杏子の目の前にたどり着く。
「じゃあ…プレゼント、ありがたくいただきますね……!」

あとはもう二人……落ちていくだけ━━━━━━━
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