天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「それでも、好きでもない男からもらったものを、わざわざ目に入るところに付けないだろ」

 自信満々に言われ、ぐっと言葉に詰まる。

「搭乗訓練中、何度も無意識にそのチャームに触れていた。いつも、お守りみたいに大切にしてくれていたんだな」
「別に、そういうわけじゃ……っ」

 必死に言い訳しながらも、頬が熱くなっていくのを感じた。
 どうしよう、きっと顔が真っ赤になってる。

「里帆。本当に俺が嫌いなら、そんな表情で見つめるな。そんなかわいい顔を見せられたら、このままさらってしまいたくなる」
「本当に、やめてください」

 そんなふうに愛おしそうな表情で見つめられたら、理性が揺らいでしまう。
 泣きそうな顔をする私を、翔さんがじっと見つめた。

「里帆がそうやって俺を拒むのは、元カレに裏切られたことが忘れられないからか?」

 彼の言うとおり、私は元カレの尚久に浮気をされたことが忘れられないでいた。

 ずっと真面目で一途だった彼が、パイロットになった途端私を裏切った。
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