天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「よかったって、なにがですか?」
「パイロットだからだめってことは、俺自身のことは好きなんだろ?」

 色っぽい流し目を向けられ、心臓が大きく跳ねた。

「私は翔さんのことを好きだなんて、ひと言も言ってないですけど!」
「パリで贈ったチャームを大切に身に着けていてくれただけで、里帆の気持ちは十分伝わった」

 そう言われ、はっとする。

 仕事中首から下げている身分証明書。
 そのストラップには翔さんからもらった鐘の形のチャームがついていた。

 それに気づかれていたなんて。

「いや、それは……っ」

 どうにかしてごまかそうと慌てる私を見て、翔さんは片方の口端を上げて微笑む。

「身分証のストラップにチャームがついていると気づいたとき、里帆を抱きしめたくて仕方なかった。俺との約束を守って、肌身離さずつけていてくれたんだろ?」
「ち、違います。翔さんと約束したからじゃなく、純粋に気に入ったから付けていただけです」
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