天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 個室から出る彼女を見送ったあと、パイロットたちが笑顔で話しだす。

「声も綺麗だけど、本人も素敵な人でしたね」
「本当に、凛として綺麗でイメージ通りの人だったなぁ」

 そんな中、堤機長がにこにこしながら俺に話しかけてきた。

「高嶺の花が相手だと、天才パイロットの矢崎くんでもなかなか苦労するようだね」

 俺が里帆に一方的に好意を抱いていることがバレバレだったらしい。

「地上百メートルの塔の上の高嶺の花ですからね。好きだと伝えているんですが、うなずけない理由があるようで振られ続けています」

 素直に認めると、堤機長は楽し気に笑った。

「そういうときは、ひたすら愛を伝え続けて待つしかないよ。いつか彼女自身の意志で塔を下りて来てくれるときまで」
「そうですね。彼女のためならいくらでも喜んで待ちます」

 うなずいてから立ち上がる。

「里帆の様子を見てきます」

 外の空気を吸うと言っていたなと思い、個室を出て店の入り口へと向かう。

< 141 / 238 >

この作品をシェア

pagetop